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笹幸恵
2020.1.5 14:43日々の出来事

航空宇宙自衛隊

読売新聞が一面トップで、
空自を「航空宇宙自衛隊」に改称し、
宇宙空間の衛星監視任務を付与すると報じている。
今年度、空自には20人規模で「宇宙作戦隊(仮)」が
創設され、これが中核となって、
早ければ2021年度に実現を目指すという。

少し前、海上自衛隊創設期を知る方に
インタビューをしたのだけど、
現在の自衛隊について思うところを尋ねると、
「我々の時代とは違います。今は宇宙や
サイバーが入ってきていますので、
私が何か申し上げる立場にありません」
という答えが返ってきて、なるほどと思った。
確かに宇宙空間とかサイバー空間などといわれると、
それだけで頭がポカーンとしてしまう。
米軍は昨年12月に空軍とは別に「宇宙軍」を発足させた。
安全保障体制の様相は大きく変化しているのだろう。

またトランプ大統領がイラン革命防衛隊の司令官を
殺害し、中東情勢もどうなるかわからない。
そんな中、海自の護衛艦と哨戒機が中東に派遣される。

自衛隊は強いから大丈夫。
自衛隊さん、ありがとう。
などと、私は言えない。
反戦平和を信奉しているからではない。
自衛官を信用していないからではない。
送り出す側があまりに無責任だからだ。

「軍隊」ではない、「戦力」ではない自衛隊に、
どれだけの任務を課すことができるのか。
もちろん現場の自衛官は死力を尽くすだろう。
けれど、軍隊と規定されていない自衛隊に
軍隊と同等の危険を伴う任務を課して、
政治家は与党も野党も足の引っ張り合いだけ
しているというのは、あまりにも怠慢が過ぎる。
軍事に真正面から向き合わず、ずるずると
規模と任務だけは拡大していく。
足元を見ろ。
本質を見ろ。
憲法改正論議から逃げるな。
帳尻合わせで命を投げ出さなくてはならないのは、
いつの時代も現場の兵士(隊員)たちだ。
政治家も役人も一般国民も、それぞれの立場から
彼らにどれだけ誠実でいられるか。
それが送り出す側のせめてもの「あるべき姿」では
ないだろうか。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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